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毎日バッグの修理をしている修理屋の目から見て、「これは保管方法が悪かったためにこうなったんだな」と思われるバッグの修理を依頼されることは多々あります。
決して安い買い物ではない本革のバッグ。
何かのご褒美で買ったり、プレゼントにいただいたりして、手入れをしながら大切にしている方も多いのではないでしょうか。
ただ、「大切に保管しているつもり」なのに実は保管方法が間違えていた、ということはあるものです。
今回は、本革バッグを保管する時に気を付けることや、バッグの形状に応じた適切な保管方法についてお伝えします。
正しい保管の仕方を知って、大切なバッグを長く愛用していきましょう。
勘違いされがちな保管方法
お手入れの終わったバッグが型崩れしないよう、買った時の箱に入れてクローゼットに重ねておくという人がいますが、実をいうとこれはオススメできません。
本革の靴と同じで、革には湿気が大敵だからです。
特別な日に使うつもりで長期保管するバッグであればなおさらのこと。
いざ使おうとして取り出したときにはカビが生えていた、なんてことになったら悲しいですよね。
バッグは汗をかかないとはいっても、やはり箱から出して通気性のよい状態で保管することが必須と言えます。
変色・カビの発生を防ぐために気を付けるべき3点
直射日光をさける(紫外線による変色を防ぐ)
高温・多湿の場所をさける(カビの発生を防ぐ)
本革のバッグを保管するときは、「直射日光をさけて、風通しのよい場所に」を心がけるのが基本です。
これを心がけるだけでも、紫外線による変色とカビの発生はかなり抑えられます。
他のバッグとの接触をさける(他のバッグからの色移りや、カビが移るのを防ぐ)
他のバッグと重ねて収納したり、くっつけた状態で収納するのはさけましょう。
他のバッグから色移りしたり、他のバッグからカビの菌が移る心配があるからです。
本革のバッグは買ったお店で保管用の袋をつけてくれるところも多いので、その場合は付属の袋に入れて単独で保管すると安心ですね。
変質を防ぐために気を付けるべき2点
ビニール袋に入れない
ビニール袋に入れると湿気がこもったり、化学反応によって変質したりする心配があります。
買った時についてくる付属の袋に入れるのが一番安心ですが、通気性のいい薄手の布に包んで保管するのもおすすめです。
乾燥剤・防虫剤の使用には注意する
市販の防虫剤・乾燥剤は革に触れた場合に変質するリスクがあるので、使わない方が無難と言えます。
その代わりに丸めた新聞紙を入れると型崩れも防ぐことができて一石二鳥なので、後でご紹介します。
いずれにしても、収納したらそのまま長期間にわたって放置することはさけ、時々は袋から取り出して状態をチェックし、風通しをするのがおすすめです。
型崩れを防ぐために気を付けるべき2点
丸めた新聞紙を詰める
バッグを長期間保管しておくと、バッグ自体の重みで形が崩れたり、変なしわが入ってなかなか戻らなかったりします。
こういった型崩れをふせぐためにバッグの中身は全て出し、丸めた新聞紙を適量つめておくといいでしょう。
新聞紙には吸湿効果と防虫効果が期待できますが、バッグの内布が淡い色だとインクの色移りも心配になりますよね。
その場合は、丸めた新聞紙を不織布か薄手の布で包んでから入れておくと安心です。
ちなみにこの場合の「適量」というのは、「なるべくパンパンに」と言い換えてもいいくらいの量です。
詰めた新聞紙がスッカスカでは型崩れ防止の効果が薄れてしまいます。
バッグは底の角部分に特に重みがかかり、型崩れの原因となります。
角まできっちり新聞紙を詰めるよう心がけましょう。
バッグの形状によって収納方法を変える
バッグの保管方法についてネットで調べると「縦置きで保管しましょう」という記事を多く見かけますが、これが全てのバッグに当てはまるか?というと疑問が残ります。
下の写真のようにバッグの持ち手の付根部分が金属になっている場合は、縦置き収納でも持ち手が綺麗に倒れるのであまり問題はありません。
ところが、バッグの持ち手の付根部分が縫い付けタイプだと、持ち手の重みでバッグにクセがついてしまったり、持ち手が曲がったりするという問題がよく起こります。
この写真のバッグは持ち手が細いため、バッグ本体に対して持ち手の重みが負担になるほどではありませんが、持ち手部分には曲がりグセがついていますね。
特に気を付けてほしいのは、紐が長いショルダーバッグです。
ショルダーの紐部分が革で出来ているものは曲がりグセがついてしまうと、なかなか元には戻りません。
①持ち手が縫い付けタイプの革バッグ
②持ち手が長い革バッグ(特にショルダータイプ)
これらの特徴を備えたバッグは、吊り下げ収納をおすすめしています。
「吊り下げ収納では持ち手が伸びる」という意見もありますが、持ち手の内部にはたいてい「伸びどめ」が入っているため、型崩れするほど伸びる心配はいりません。
仮に多少伸びたとしても、縦置き収納でバッグ本体にかかる負担や持ち手の変形を考えれば、吊り下げ収納のメリットのほうが大きいと言えますね。
まとめ
今回は、本革バッグの保管方法について気を付けることをお伝えしてきました。
- 直射日光・高温多湿をさけて風通しのよい場所に保管すること
- 防虫剤の代わりに型崩れまで防いでくれる新聞紙をつめること
- 保管の際にはビニールでなく通気性の良い袋にいれて単独保管すること
- バッグの形状に合わせて、縦置き保管か吊り下げ保管か選ぶこと
ざっくりとですが、以上のような点に気を付けて本革バッグを大切に保管し、お気に入りのバッグを長く愛用しましょう。
本革バッグの定期的なお手入れ方法については以下のブログを参考にしてくださいね。
【本革バッグ】手入れ方法を知って長く愛用する! – リルーチェ|靴・鞄の修理・クリーニング、衣類のお直しを宅配で♪ (r-luce.com)
どんなに大切に手入れをして、保管方法に気を配っても、使っているうちに持ち手が切れたり壊れたりすることはあるものです。
バッグの色落ちやくすみ、持ち手や金具の破損など、自分で対処できないものはR.Luceまでお気軽にご相談ください。