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「コレと同じもの作れない?」
このようなお尋ねを受けること、実は時々あります。
「もうこれ以上は修理しなくていい」と思えるほど大切に使い倒したバッグ。
それでもやはり使い勝手がよくて、「なかなか手放せない」というお客様。
案外よくいらっしゃるんですね。
そこで今回は、新しい革を使ってお客様お気に入りのバッグやポーチを「作り直した」実例をご紹介します。
作り直しではなく、修理の実例が見たいんだけど…という方は以前に書いたブログを参考にしてくださいね。
元のバッグと全く同じものはできない
最初に残念なお知らせで恐縮ですが、お気に入りだったバッグやポーチと全く同じものを「複製」することは不可能です。
ブランドバッグは、やはりそのブランド独自のこだわり素材やパーツが使われており、ロゴなどのデザインまで含めて価値があります。
同じ素材を一般のバッグ修理店が入手することは不可能ですし、ブランドのコピー製品を作るのは権利侵害になってしまいます。
なので、どんなにお気に入りのバッグだったとしても「まったく同じものは作れない」とご理解ください。
お気に入りポイントを整理して、似ている物は作れる
お気に入りだったバッグと同じものが作れないと知って、がっかりしないでくださいね。
あなたにとって、そのバッグの使いやすさとは何でしょうか?
手触り、色、大きさ、持ち手の長さ、ファスナーや内ポケットの有無。
譲れないこだわりの部分がどこなのか、一緒に考えてみませんか。
まったく同じものは無理でも、近い状態のものをお作りしてきた実例がたくさんありますのでご紹介します。
合皮のバッグを本革で新しくした例
こちらの写真はお客様からお預かりした合皮のバッグです。
長く使ってきて使用感が出てしまい、「修理よりも作り変えをしたい」というご希望でした。
- 大きさと形
- 持ち手
- 真ん中のキーパーツを残す
- 底鋲を付ける
- 本革にする
お客様がこだわりたい部分をお聞きしながら打ち合わせをします。
新しく作り直すバッグの革を何色にするかも決めます。
この時、実際店頭に足を運んでいただいて革の色を見ていただいてから決定してもいいし、「明るめのオレンジで」などのご希望を伝えていただき、あとはスタッフにお任せいただいても大丈夫です。
元のバッグはお預かりし、これを参考にサイズなどを測って、新しい革を裁断します。
実際に出来上がったバッグが以下の写真です。
残したキーパーツにも同色の革を巻いて仕上げてあるので、統一感がでますね。
この大きさのバッグだと、市販ではショルダー紐が付属していることが多いです。
ショルダー紐が欲しいお客様といらないお客様、両方のニーズに対応できるようにですね。
しかし、ハンドバッグとしてしか使わない人にとっては余計な金具がついて重く感じてしまいます。
オーダーメイドなら、自分の使い方に応じて「ショルダーなしで」を選択できます。
内装は外側のオレンジ色に合うブラウンをチョイスして、マグネットホックと内ポケットを付けています。
お客様のご希望次第で、ポケットに仕切りを付けたり、反対側にもポケットを増やしたりとカスタマイズできるのが、オーダーバッグの良さです。
○○専用の入れ物を好きな色の本革で作った例
自分には使い勝手がよくて愛用しているものでも、メーカーの都合などで廃盤になり「もう2度と手に入らない」というものもありますよね。
そんな、「ちょっと珍しいもの」の作り直しも、ご依頼いただくことがあります。
こちらの写真の小物入れは、付箋でお馴染み「ポストイット」専用の入れ物です。
そのようなものが売られていることも知らなかったので、お預かりした時は「ナニコレ!かわいい!」とスタッフ一同で盛り上がりました。
材料はお客様がご自身で購入して、店頭にお持ち込みいただいた、水色の革です。
欲しいものを欲しい色で作り直せば、お気に入りになること間違いなしですよね。
専用の打ち具を使って、革に合いそうなボタンを取り付けます。
こちらが完成品です。
実はポストイットだけでなく、ボールペンが1本入るようになっていたんですね!
覚えておきたいことをすぐさまメモできる、画期的なアイテムかもしれません。
残念ながら需要と供給の関係で販売されなくなってしまったものも、オーダーメイドなら自分好みの革で復活させることができます。
合皮のポーチを本革で作り変えた例
デザインや色のかわいさにひかれて購入したポーチ。
たとえ名の知れたブランドの商品であっても、合皮(フェイクレザー)で作られたものはいずれ「加水分解」によりボロボロになってしまいます。
この写真のように加水分解で表面がはがれた合皮は、再利用できません。
それでもお客様にとっては色や大きさ、形や容量が自分にとってぴったりだったということがありますよね。
お客様からご依頼いただいたこちらのディオールポーチは、ファスナーと引手のチャームを残して、赤の本革で作り変えました。
ブランドロゴはもちろん残りませんが、使い勝手はそのままに、合皮より長く使い続けられるポーチが完成しました。
まとめ
今回は、お客様がお気に入りだったバッグと「似ているバッグやポーチ」をオーダーメイドで作ってきた実例をご紹介しました。
オーダーメイドのバッグは、元のバッグの「お気に入りだったポイント」を残しつつ、自分の使い勝手に合わせてカスタマイズもできるのが魅力。
自分にとって使いやすい、世界で一つだけのバッグが出来上がりますよ。
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